杉養蜂園のいま


今年の冬は暖冬の予報に反して、大寒波が各地で大雪を降らせる厳冬となりました。火の国といわれる熊本でも、蜜蜂たちの故郷である阿蘇山周辺は雪に覆われます。冬の厳しい寒さから蜜蜂たちを守るために、杉養蜂園の養蜂家はなるべく暖かい場所を求め、海沿いなど19カ所以上に巣箱を分散させて冬を越します。養蜂家たちは熊本県内に広く分散した巣箱をまわりながら、常に蜜蜂の様子を気にかけ、わが子のように慈しみ、見守っているのです。
『健やか農蜂業』を実践する杉養蜂園では、キンカンの収穫や梅園の剪定などの農作業も養蜂家たちの仕事です。また、杉養蜂園ではその年に使う新しい巣箱を、冬の間にすべて自分たちの手で作っています。四季の移ろいの中で自然のサイクルに逆らうことなく、その摂理にしたがいながら蜜蜂と共に暮らす。それが六十年以上変わることなく継承してきた手仕事にこだわる生産哲学なのです。
そして九州の南から桜前線が北上し、花のつぼみが膨らむ3月中旬頃から、蜜蜂たちの動きが活発になってきます。選ばれた一匹の女王蜂が産卵を始め、巣箱の中では日ごとに数が増え、元気な蜜蜂たちは今にも飛び出したくてウズウズしている様子です。遠くの田んぼで、レンゲの花が甘い香りを漂わせるのを待ちわびているかのように。
養蜂家たちの新年といわれる春が、もうすぐそこまで来ています。









