2025.09.17 コラム
百花蜜とは?単花蜜との違いやおいしく食べる方法を解説

はちみつには、“百花蜜(ひゃっかみつ)”という種類があるのはご存知でしょうか。
販売されているのを見かけたことがあるものの、「普通のはちみつと何が違うの?」「どんな味がするんだろう……」と疑問を持った方もいることでしょう。
そこで本記事では、百花蜜の特徴や単花蜜との違い、おいしく食べるためのポイントを解説します。 百花蜜の理解を深めたうえではちみつを選びたい方は、最後までぜひご覧ください。

百花蜜とは?
百花蜜とは、複数の花を蜜源とするはちみつのことです。
特定の花の蜜のみを使用しているわけではないため、商品として販売される百花蜜に花の名前が記載されることはありません。
一方、1種類の花の蜜が大部分を占めているはちみつは“単花蜜(たんかみつ)”とよばれ、容器にはアカシアやマヌカなどの特定の花の名前が記されます。
百花蜜の特徴
複数の花の蜜から生まれる百花蜜は、巣箱を置く土地や作られた季節によって、多様な風味を味わえることが特徴です。
これは、巣箱がある土地に咲く花の種類や蜜源となる花の割合によって、風味が大きく異なるためです。
また、季節ごとに違う花が咲くことから、同じ土地の百花蜜でも春に採取したはちみつと夏に採取したはちみつでは味が異なります。
こうした特徴を持つ百花蜜は、どのような味がするのかを明確に示すことができません。
しかし、裏を返せば自然界の状況とともに変わっていく風味を、そのまま楽しむことができるはちみつといえます。
百花蜜はどのようなミツバチによって作られる?
はちみつを作る際は、日本ミツバチもしくは西洋ミツバチを飼育するのが一般的です。
このうち、百花蜜を作るのに適しているのは日本ミツバチです。
日本ミツバチは単独で行動し、複数の花から少しずつ蜜を集めるという特徴を持っています。
したがって、多彩な花の風味を感じられる百花蜜が生まれる可能性が高いとされています。
一方、西洋ミツバチは、1種類の蜜源植物が群生している場所に集団で向かって蜜を採取するのが特徴です。
複数の花から蜜を集めることが少ないので、基本的には単花蜜になります。
しかし、西洋ミツバチが蜜を集める範囲内にさまざまな花が咲いていれば、百花蜜を作ることもあります。
百花蜜と単花蜜の違い
百花蜜は、以下の2つの点が単花蜜とは異なります。
百花蜜と単花蜜の主な違い
・味とおいしさの感じ方
・入手の難易度
本項では、それぞれの詳細を解説します。
味・おいしさの感じ方
百花蜜は、たとえ同じ養蜂場で採取されたものであっても、季節によって味わいが異なるのが特徴です。
そのときどきでしか出会えない特別な味わいがあるため、一期一会の楽しみを感じられるはちみつといえるでしょう。
また、百花蜜は複数の花の蜜が混ざり合うことで風味がマイルドになり、はちみつ特有のクセが苦手な方でも食べやすい場合があります。
ただし、いくつかの花の蜜が合わさることで風味が複雑になるため、好みに合うかどうかは実際に試してみないと分かりにくい面もあります。
一方、単花蜜は特定の花から採取された蜜を使用しているため、毎年わずかな違いはあるものの、味のブレが少なく安定しています。
その花特有の風味をしっかりと楽しむことができ、たとえばクローバーやオレンジなど、好みの花の個性を味わいたい方におすすめです。
したがって、クセの少ないはちみつをお求めの方には百花蜜が、特定の花の特徴を堪能したい方には単花蜜が適しているといえるでしょう。
入手の難易度
百花蜜は、単花蜜よりも入手するのが難しいはちみつです。
これには、日本ミツバチと西洋ミツバチの養蜂環境の違いが深く関係しています。
百花蜜を作る日本ミツバチが集められる蜜の量は、単花蜜を作る西洋ミツバチと比べて多くありません。
また、日本ミツバチは養蜂の難易度が高いことでも知られており、その数は年々減少傾向にあります。
一方、西洋ミツバチは、特定の花の蜜を効率的かつ大量に集められるうえに、養蜂する環境も整っています。
このように百花蜜は、養蜂の環境を整える難しさを理由に、単花蜜よりも入手する難易度が高いはちみつとなっているのです。
百花蜜をおいしく食べるには?
最後に、百花蜜をおいしく食べるために押さえておきたい2つのポイントをご紹介します。
純粋はちみつを選ぶ!
はちみつは、「純粋はちみつ」「精製はちみつ」「加糖はちみつ」の3種類に区分されており、区分によって含有する栄養成分や健康成分、味に違いがあります。 「百花蜜そのままのおいしさを味わいたい!」という方は、純粋はちみつを選ぶとよいでしょう。
純粋はちみつの特徴
・加工されていない
・栄養成分や健康成分が含まれているほか、はちみつ本来の味を楽しめる
複数の花の蜜から作られており、採取する環境や時期によって味が異なる!
百花蜜は、複数の花を蜜源に作られるはちみつのことで、アカシアはちみつやマヌカハニーなどの単花蜜とは異なり、特定の花の名が記されません。
また、百花蜜は採取する環境や時期によって味わいや香りが変化するほか、希少性が高いという特徴を持っています。
今回は、百花蜜の特徴と単花蜜との違うを解説しました。
国内外のさまざまなはちみつを取り扱う杉養蜂園では、希少な国産の百花蜜も販売しています。
風味豊かな百花蜜をお探しの方は、ぜひ当社の通販サイトをご利用ください。
コラム監修者

平柳 要先生
肩書:医学博士(東京大学)/保健学修士(東京大学)
所属:株式会社 食品医学研究所 代表兼所長
【略歴】
東京大学大学院医学系研究科(生理学)修了後、イタリア・パルマ大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の客員研究員を経て、日本大学医学部(衛生学)准教授となる。
これまで日本体育大学(公衆衛生学/労働衛生学)、佐野日本大学短期大学(公衆衛生学)などの非常勤講師、日本人間工学会、日本宇宙航空環境医学会、日本臨床高気圧酸素・潜水医学会の理事や日本衛生学会、日本予防医学リスクマネージメント学会の評議員などを務めた。
現在は(株)食品医学研究所の代表兼所長。
【専門分野】
・特殊環境医学(宇宙環境生理学、海洋環境生理学、作業環境衛生学)
・科学的根拠(エビデンス)に基づく食材の健康効果研究
【メディア出演歴】
・NHK「ためしてガッテン」
・TBSテレビ「名医のTHE太鼓判!」
・テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」
・CBCテレビ「健康カプセル!ゲンキの時間」
その他、MBS・テレ東・BSフジなど多数出演。
【監修・寄稿実績】
・蜂蜜力(主婦と生活社)
・魔法のハチミツ(マキノ出版)
・体が整う とっておきのしょうがレシピ(ナツメ社)
その他、食品の健康効果に関するムックや新聞・雑誌への
記事の投稿・監修は200冊以上。
【執筆著書】
・がん予防に実は「日光浴」が有効なわけ-ビタミンDの驚きの効力(講談社)
・病気にならない!しょうが緑茶健康法(サンマーク出版、中国語版あり)
・医学博士が考案した長生きふりかけ(サンマーク出版)
その他、専門書『現代生活と保健衛生』(篠原出版新社)・『新編衛生学実習』(南山堂)など、
健康・保健に関する書籍を多数執筆。
【外部リンク】
食品医学研究所ブログ:http://h-and-w.jp/column/
マイベストプロ群馬ブログ:https://mbp-japan.com/gunma/food-medicine/column/

