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2025.12.01 コラム

はちみつはどうやってできる?出荷されるまでの過程を解説




デパートやスーパー、あるいはネットの通販サイトなど、はちみつはさまざまなところで購入できます。

しかし、それだけ身近である一方で、はちみつがどのような過程を経て私たちのもとに届くのかまでは、ご存じない方も多いでしょう。

そこで今回は、はちみつが一体どうやってできるのかを、順を追って解説いたします。

はちみつについて一歩踏み込んだことを知りたい方は、ぜひご覧ください。



はちみつはどうやってできる?


はちみつが出荷されるまでの9つの過程を詳しく見ていきましょう。



はちみつができあがるまでの9つの過程

  1. 1.ミツバチが花の蜜を巣房に集める

  2. 2.巣にいるミツバチが花の蜜の水分を飛ばす

  3. 3.蜜ろうで蓋をして保存する

  4. 4.ミツバチの巣房から採蜜する

  5. 5.こし器ではちみつをろ過する

  6. 6.原料蜜を製造工場へと運ぶ

  7. 7.原料蜜の検査をする

  8. 8.工場で原料蜜をろ過して容器に入れる

  9. 9.はちみつの検品と包装を行う

  10. 10.食品表示基準に基づいた表示を行う





①ミツバチが花の蜜を巣房に集める


はちみつ作りは、ミツバチが花の蜜を巣房に集めるところから始まります。

まず、外勤バチとよばれる働きバチが、巣から約2kmの範囲内に咲いている花の蜜を集めて持ち帰り、巣の中で働いている内勤バチへと口移しで渡します。

そして内勤バチが、巣房とよばれる六角形の小部屋に受け取った蜜を詰めていく、というのが基本的な流れです。

口移しの過程で花の蜜にミツバチの唾液が混ざりますが、実はこれがはちみつ作りにおける重要な要素となっています。

ミツバチの唾液には酵素が含まれており、これが混ざることで花の蜜に含まれるショ糖が分解され、ぶどう糖と果糖になります。

「はちみつは食べたあとすぐにエネルギーになる」といわれているのは、ミツバチが先にショ糖を分解してくれているおかげなのです。



②巣にいるミツバチが花の蜜の水分を飛ばす


巣房に詰められたばかりの蜜に対して、内勤バチが羽をはばたかせて風を送ります。

水分を徐々に蒸発させて、糖度を濃縮させるためです。

糖度が上がると腐敗防止につながるため、はちみつは長期保存が可能となります。



③蜜ろうで蓋をして保存する


蜜の水分量が20%ほどまで減ったタイミングで、内勤バチは巣房に蜜ろうで蓋をして、蜜をさらに熟成させていきます。

そして数日経ってようやく、採蜜可能な状態の“はちみつ”が完成します。



④ミツバチの巣房から採蜜する


ここからはいよいよ、養蜂家の採蜜作業が始まります。

まず、蜜で満たされた巣枠を巣箱から取り出して、蜜ろうの蓋を“蜜刀(みつとう)”という専用の刃物で丁寧に切り落とします。

そして残った巣の部分から蜜を回収するわけですが、ここで利用するのが遠心分離機です。

遠心分離機に巣を枠ごと入れたあとに回転させることで、遠心力ではちみつだけが外に飛び出して底に溜まっていきます。

溜まったはちみつは注ぎ口から出てくる仕組みとなっており、そこから別の容器にはちみつを注いで集める、というのがこの過程の流れです。



⑤こし器ではちみつをろ過する


巣房に入っている状態のはちみつには、巣の破片や植物の一部、ミツバチやそのほかの虫が混入しているものです。

そのため、遠心分離機の注ぎ口から集める際にこし器を通して、目に見えるサイズのごみを取り除いていきます。



⑥原料蜜を管理製造工場へと運ぶ


ろ過されたはちみつを“原料蜜”としてドラム缶や一斗缶で保管し、その後製造工場または作業場へと運びます。

路線便にて輸送されているため、身近にはちみつを載せたトラックが走っているかもしれません。

参照元: e-gov法令検索「食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010#Mpat_1 東京都保健医療局「業務用生鮮食品の概要」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_seisen_gyoumuyou.html



⑦原料蜜の検査をする


お客様へはちみつの安全性を保障するため残留農薬検査や、糖度や水分、加熱や劣化の指標となるHMF(ヒドロキシメチルフルフラール)など、全国はちみつ公正取引協議会の定める項目の品質検査を行います。



⑧工場で原料蜜をろ過して容器に入れる


工場や作業場では、円錐状のフィルターネットやメッシュのこし器などを用いて、原料蜜を再度ろ過し容器に充填していきます。

時間をかけてゆっくりと原料蜜をろ過し、混ざっていた微小なごみを取り除いたら、ようやく容器へ充填できるようになるのです。

なお、場合によってはろ過の前に原料蜜を保管容器ごと湯煎することもあります。

温めて粘度を下げないと、目の細かいこし器でろ過することが難しいためです。



⑨はちみつの検品と包装を行う


容器への充填が完了したらすぐに出荷できる、というわけではありません。

最後に、目視での異物確認などを入念に行い、問題ないことが確認できたら、梱包を行い出荷できる状態にします。



⑩食品表示基準に基づいた表示を行う


梱包を終えたらいよいよ出荷となりますが、この際食品表示基準に基づき、“一般加工食品”として商品情報を容器やパッケージに表示する必要があります。

その具体的な内容が以下の通りです。



はちみつに表示する必要がある事項

  • ・名称

  • ・原材料名

  • ・内容量

  • ・賞味期限

  • ・保存方法

  • ・食品関連事業者の氏名、または名称および住所

  • ・製造所または加工所の所在地および製造者、または加工者の氏名か名称

  • ・栄養成分の量および熱量


このほか、輸入品の場合は原産国も表示しなくてはなりません。

また、義務ではありませんが「1歳未満の乳児に与えないでください」と注意喚起する表示も入れるようにと、厚生労働省から案内が出ています。

1歳未満の乳児がはちみつを食べると、乳児ボツリヌス症を発症してしまうおそれがあるためです。

参照元: e-gov法令検索「食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010#Mp-Ch_2-Se_1-Ss_1-At_3 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html



工場ではちみつに手を加えることはある?


ここまでは、採蜜したそのままの“純粋はちみつ”を出荷する流れを説明してきましたが、製造過程ではちみつを加工するケースもあります。

そのようにしてできた加工はちみつについて、以下で詳しく解説いたします。



精製はちみつ


精製はちみつは、純粋はちみつから色や風味、栄養成分などを取り除いたものです。

単体でそのまま食べられることはなく、ほかの加工食品に甘味を加えるための甘味料として使われることがほとんどです。

はちみつ本来の風味や栄養成分は残念ながら損なわれていますが、その分加工が容易で、多種多様な商品に用いられています。

最近では、いちごやマスカットなどの果汁と合わさった、果汁入りはちみつなども売られており、バリエーションも豊富です。

はちみつ由来の甘味といろいろなフレーバーを楽しみたいのであれば、精製はちみつが使われている商品を探してみましょう。



毎日食べるのにおすすめのはちみつ


最後に、日々の生活に取り入れる際におすすめのはちみつ3種類を紹介いたします。

はちみつ選びでお悩みになった際は、ぜひ以下のはちみつをお試しください。



毎日食べるのにおすすめのはちみつ

  • ・アカシアはちみつ

  • ・クローバーはちみつ

  • ・オレンジはちみつ





アカシアはちみつ



アカシアの花を蜜源とするアカシアはちみつは、癖のないマイルドな味わいが特徴で、老若男女問わず親しまれています。


ヨーグルトや果物にかける、または温かい紅茶に混ぜる、あるいは料理の隠し味として使うなど、お好みの方法で楽しむことが可能です。

「まずは王道のはちみつを試してみたい」という方には、うってつけの種類だといえます。



クローバーはちみつ


癖の少ないはちみつとしては、ほかにクローバーはちみつも挙げられます。

まろやかで優しい甘さと、爽やかで慎ましい花の香りが特徴的で、世界的にも高い人気を博しています。

どんな食べ物に合わせても活躍してくれますが、特に紅茶やハーブティーとの相性が抜群です。

午後のティータイムを、ワンランク上の時間に仕立て上げてくれるでしょう。



オレンジはちみつ


「甘さ以外にも風味も楽しみたい」という方におすすめなのが、オレンジはちみつです。

その名の通りオレンジの花を蜜源としており、フルーティーな甘さのほかに、柑橘系特有の爽やかな酸味や少しのほろ苦さも楽しめます。

そのままでもおいしく食べられますが、ヨーグルトや紅茶に混ぜる、またはドレッシングの材料として使ってみるのもおすすめです。



はちみつが商品として出荷されるまでには、さまざまな過程がある


今回は、はちみつがどうやってできるのかを解説しました。

ミツバチが懸命に花の蜜を集め、それが熟成されたら養蜂家が採蜜し、ろ過や検品などを行ったうえで出荷する。

このようなさまざまな過程を経て、ようやくはちみつはできあがるのです。

はちみつを食べる際には、「これができあがるまでには、いろいろな過程があったんだな」と思いを馳せてみるのもよいでしょう。

この記事を読んで「はちみつを生活に取り入れてみようかな」と気になり始めた方は、ぜひ杉養蜂園のECサイトをご利用ください。

最後にご紹介したアカシアはちみつやクローバーはちみつ、オレンジはちみつのほかにも、さまざまな種類のはちみつを取り扱っております。
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