• メニュー

はちみつ・マヌカハニー・ローヤルゼリーの専門店|杉養蜂園

2026.08.20 コラム

はちみつが発酵する理由とは?原因・結晶化との違い・保存の注意点を解説



「家にあるはちみつの風味が変わった気がする」「泡が出ているけれど、発酵しているのだろうか」と不安に思われたことはありませんか。


はちみつは糖度が高く水分が少ないため、通常は傷みにくい食品です。しかし、保存状態や水分量などの条件によっては、まれに発酵が進むことがあります。


本記事では、はちみつが発酵する理由、発酵したときに見られる変化、結晶化との違い、発酵を防ぐ保存方法についてわかりやすく解説します。後半では、発酵に気づいたときの扱い方や、はちみつをおいしく保管するためのポイント、はちみつと発酵文化の関係について紹介します。



はちみつの基本


「なぜはちみつが発酵することがあるのか」を知るために、まずは、はちみつの基本的な情報を押さえておきましょう。
はちみつが発酵するかどうかには、採蜜時の水分量や、はちみつ中に存在する酵母、保存中の温度や湿度などが関係します。



はちみつはどのように出来上がる?


はちみつは、ミツバチが花の蜜を吸い、その蜜を持ち帰って巣で作られます。
具体的には、以下の手順によって花の蜜がはちみつとなります。


はちみつが作られる手順



  1. ミツバチが花の蜜を巣に集める

  2. 巣に戻ったミツバチが、貯蔵担当のミツバチに花の蜜を口で移す

  3. 巣に蓄えた花の蜜に羽をはばたかせて風を送り、ミツバチの口でかき混ぜて水分を蒸発させる

  4. ミツバチの唾液の酵素が加わり、花の蜜のショ糖がブドウ糖と果糖に分解される


このような手順で作られたはちみつを、人の手によって採取し、製造工場で異物除去などの加工をすることで、私たちが味わうはちみつとなるのです。
はちみつの発酵には、ミツバチがはちみつを作る過程で混ぜている耐糖性の酵母が関係しています。



はちみつに含まれる成分と効果


はちみつには、糖質のほか、ビタミンやミネラル、酵素、有機酸などの成分が含まれています。
先ほど紹介した製造過程で、ミツバチによって花の蜜が加工されるため、花の蜜由来のさまざまな成分が含まれた状態となります。


はちみつは本来、ミツバチが成長するための食料ですが、人間にとってもうれしい効果がある、自然由来の健康食品なのです。



はちみつは発酵することがあるって本当?


結論からお伝えすると、はちみつは発酵することがあります。


はちみつには自然由来の微生物が生きていますが、はちみつの中は糖度が高く、なおかつ水分濃度が低いため、本来であれば微生物は活動できません。
しかしそのような環境でも活動できる、この微生物には酵母が含まれ、ある一定条件でこの酵母が発酵を引き起こします。



発酵が進む条件は?


以下のような条件がそろっていると、はちみつの発酵が進みやすくなります。


はちみつの発酵が進む条件



  • はちみつの水分含有量が20%を超える

  • 保管場所の温度が高い

  • 十分に密閉されていない



はちみつの水分含有量が20%を超える


はちみつを水で希釈した場合など、はちみつの水分が多い状態になっていると、発酵が進むことがあります。
なぜなら、酵母をはじめとする微生物は、水分がある環境を好むことが一般的であるためです。
そのため、水で希釈した場合以外でも、水分を含んだ果実や野菜をはちみつに漬け込んだ場合にも発酵が進みます。



保管場所の温度が高い


はちみつは常温で保存が可能ですが、保管場所が高温になるほど発酵や品質劣化が進みやすくなります。
酵母菌が活動する温度が30~35度程度であるため、特に夏場は直射日光の当たらない冷暗所ではちみつを保管するとよいでしょう。



十分に密閉されていない


はちみつの容器が十分に密閉されていない場合は、空気中の水分を吸収することで発酵する可能性があります。
特に、湿気の多い環境ではちみつを保管する場合は、あまり頻繁に容器を開けず、密閉されていることを確認しましょう。



はちみつが発酵するとどうなるのか


上記でお伝えした原因により、はちみつが発酵すると、以下のような変化が起こります。


はちみつが発酵したときに起こる変化



  • 液面にブクブクとした泡が発生する

  • 容器を開けた際に「ブシュッ」と音が鳴る

  • 酸っぱいにおいがただよう

  • 口にすると、アルコールのような味を感じる


泡が発生するのは、炭酸ガス(二酸化炭素)によるものです。
また、炭酸ガスの副産物としてアルコールが生成されるため、風味が変わります。


なお、発酵したはちみつを、夏場の高温の環境に長時間放置することは避けてください。
発酵によって炭酸ガスが発生して、容器内部の圧力が上昇し、液漏れや容器の破損などのトラブルにつながることがあります。
蓋が吹き飛ぶと、怪我にもつながりかねないため、ご注意ください。


発酵した場合は、水さず、新聞紙や古布などにしみこませて可燃ごみとして処分しましょう。



結晶化したはちみつとの違い


発酵のほかに、温度が原因ではちみつに起きる変化としては、「結晶化」も挙げられます。
結晶化とは、はちみつの中に溶けていたぶどう糖が固体の粒となり、はちみつが白く不透明な状態に変化することです。
はちみつの保管温度が15℃を下回ると、結晶化しやすい状態になります。


結晶化の場合は、ぶどう糖が固体になっているだけです。
そのため、甘さの感じ方や口当たりなどは変わりますが、発酵した場合のように炭酸ガスやアルコールなどは発生しません。


結晶化は、はちみつの種類や成分によって起こりやすさが異なりますが、保管温度が10~15℃前後以下になったときに起こりやすい現象で、健康上に大きな問題はありませんが、高温だと発酵し、品質が変化している可能性があるため、はちみつは常温で保存することが望ましいです。


なお、結晶化したはちみつは、40~45℃のお湯で湯せんすれば元の状態に戻ります。
50℃以上になると、はちみつに含まれるデリケートな酵素やビタミン類が損なわれてしまうので、ご注意ください。



はちみつの発酵を防ぐためのポイント


はちみつの発酵を防ぐためには、先ほど紹介した「はちみつが発酵する原因」をできるだけつくらないことが大切です。
具体的には、以下のポイントを意識しましょう。


はちみつの発酵を防ぐためのポイント



  • はちみつに水分を加えない

  • 常温で保存する

  • 容器を密閉する


水分は、はちみつが発酵する大きな要因となり得ます。
そのため、「水で希釈しない」「野菜や果物を漬け込む場合は、早めに食べる」の2点を鉄則としてください。
意図せず水分が混入するのを防ぐために、容器を密閉して保管することも大切です。


また、保管場所は直射日光や高温多湿を避け、涼しく乾燥した場所で常温保存するのが基本です。



発酵したはちみつを扱うときの注意点


発酵したはちみつについて調べていると、「食べられるのか」「どう使えばよいのか」が気になる方もいるかもしれません。


しかし、家庭で保存中に発酵したはちみつは、保存状態や変化の程度によって状態が異なります。


特に、においや泡立ちに違和感がある場合は、無理に使わない判断が大切です。



異臭や強い発泡がある場合は使用を避ける


はちみつから強い酸っぱいにおい、いつもと違う異臭、強い発泡がある場合は、食べることをおすすめしません。


発酵による変化だけでなく、保存状態によっては品質が劣化している可能性もあります。


「少しでも不安がある」「いつもと明らかに違う」と感じる場合は、口にしないほうが安心です。



風味や状態が変化している可能性がある


発酵したはちみつは、通常のはちみつとは香りや味わいが変わっている場合があります。


泡、酸味、アルコールのような香りがある場合、購入時とは異なる状態になっていると考えられます。


はちみつ本来の香りや甘みを楽しむためには、発酵が進んでいない通常状態のはちみつをお召し上がりください。



一般的には通常状態のはちみつを楽しむのがおすすめ


はちみつは、通常の状態で香りや甘みを楽しむ食品です。


発酵して風味が変わったものを無理に使うよりも、正しく保存された未発酵の新鮮なはちみつを楽しむほうが安心です。


特に、贈り物やお客様に提供する料理に使う場合は、状態に不安のあるはちみつは避けましょう。



はちみつと発酵文化の関係


ここからは、家庭で発酵したはちみつの食べ方ではなく、世界にある「はちみつを利用した発酵文化」について紹介します。


はちみつは古くから、甘味料としてだけでなく、飲み物や保存食、伝統的な発酵食品の材料として使われてきました。


ただし、ここで紹介するものは、管理された製法で作られる食品や飲み物です。家庭で保存中に自然に発酵したはちみつを、そのまま食べることをすすめる内容ではありません。



ミード|はちみつを使った発酵飲料


はちみつを使った発酵飲料の代表例に「ミード」があります。


ミードは、はちみつと水を主な原料として発酵させるお酒です。海外では古くから親しまれてきた飲み物のひとつで、「はちみつ酒」と呼ばれることもあります。


ミードは、発酵の仕組みを利用して作られる飲み物ですが、製造には温度管理や衛生管理が必要です。保存中に自然に発酵したはちみつとは別のものとして考えましょう。



はちみつを使ったその他の発酵飲料


世界には、はちみつを甘みとして使った発酵飲料もあります。


発酵飲料では、はちみつの甘みが発酵の材料として使われることがあります。地域や文化によって、果物、ハーブ、穀物などと組み合わせることもあります。


ただし、発酵飲料は、原料の配合や衛生状態、温度管理によって品質が左右されます。ミードのようなアルコール飲料を日本の家庭で製造する場合には、酒税法上の規制を受けます。無免許で酒類を製造することは認められていないため、家庭での製造を安易に行わないよう注意が必要です



発酵食品とはちみつの組み合わせ


はちみつは、発酵食品と組み合わせて使われることもあります。


たとえば、ヨーグルトに通常状態のはちみつをかけたり、味噌やしょうゆを使ったたれに少量のはちみつを加えたりする使い方があります。


この場合のはちみつは、発酵したはちみつではなく、未発酵の新鮮なはちみつを使うのが基本です。はちみつの自然な甘みが、発酵食品の酸味や塩味をやわらげ、味のバランスを整えてくれます。



世界の発酵文化から見たはちみつ


発酵は、世界各地で受け継がれてきた食文化のひとつです。


地域によって、果物、穀物、乳製品、豆類など、さまざまな食材が発酵に利用されています。はちみつも、その甘みや香りを活かして、飲み物や料理に使われてきました。


このように、はちみつと発酵には深い関係があります。ただし、発酵文化として管理されて作られた食品と、家庭で保管中に状態が変わったはちみつは同じではありません。


発酵したはちみつを見つけた場合は、「食文化としての発酵」と「保存中の品質変化」を分けて考えることが大切です。



はちみつを安心して楽しむための保存方法


はちみつを安心して楽しむためには、日頃の保存方法が大切です。


基本は、直射日光を避け、常温で保存することです。冷蔵庫に入れると結晶化しやすくなる場合があるため、通常は冷暗所での保存が向いています。



開封後は清潔に使う


開封後のはちみつは、清潔に使うことを意識しましょう。


濡れたスプーンや、ほかの食品が付いたスプーンを容器に入れると、水分や異物が混ざる原因になります。


はちみつを取り出すときは、乾いた清潔なスプーンを使い、使用後はすぐにふたを閉めましょう。



高温多湿を避ける


はちみつは、高温多湿の場所を避けて保存しましょう。


キッチンでも、コンロの近くや直射日光が当たる場所は温度が上がりやすいため注意が必要です。


夏場は室温が高くなりやすいため、できるだけ涼しく、温度変化の少ない場所に置くと安心です。



状態に不安がある場合は無理に食べない


はちみつに泡が出ている、強い酸味を感じる、異臭がする、容器が膨らんでいるといった変化がある場合は、無理に食べないようにしましょう。


見た目やにおいに不安がある場合は、使用を控えることが安全です。


はちみつは、発酵していない状態で楽しむことで、本来の香りや甘みを感じることができます。



まとめ|はちみつは正しく保存し、通常状態で楽しみましょう


はちみつは、糖度が高く水分が少ない食品ですが、水分量や温度、保存状態によっては発酵することがあります。


発酵が進むと、泡が出たり、酸っぱいにおいがしたり、アルコールのような香りを感じたりする場合があります。保存状態によっては品質劣化の可能性もあるため、食べることをおすすめしません。


また、発酵と結晶化は別の現象です。結晶化は、はちみつに含まれる糖が白く固まる自然な変化であり、発酵のようにガスやアルコールのような香りが出るものではありません。


世界には、ミードのように、はちみつを利用した発酵飲料や発酵文化があります。しかし、管理された発酵食品と、家庭で保存中に自然に発酵したはちみつは同じではありません。


一般的には、未発酵の新鮮なはちみつを楽しむことが推奨されます。はちみつ本来の香りや甘みを味わうためにも、水分の混入や高温多湿を避け、正しく保存しましょう。


杉養蜂園のオンラインショップでは、ご自宅用から贈り物まで、さまざまなはちみつを取り扱っております。毎日の食卓で安心して楽しめるはちみつをお探しの方は、ぜひご覧ください。



コラム監修者

平柳 要先生

平柳ひらやなぎ 要かなめ先生

肩書:医学博士(東京大学)/保健学修士(東京大学)

所属:株式会社 食品医学研究所 代表兼所長

【略歴】

東京大学大学院医学系研究科(生理学)修了後、イタリア・パルマ大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の客員研究員を経て、日本大学医学部(衛生学)准教授となる。
これまで日本体育大学(公衆衛生学/労働衛生学)、佐野日本大学短期大学(公衆衛生学)などの非常勤講師、日本人間工学会、日本宇宙航空環境医学会、日本臨床高気圧酸素・潜水医学会の理事や日本衛生学会、日本予防医学リスクマネージメント学会の評議員などを務めた。
現在は(株)食品医学研究所の代表兼所長。

【専門分野】

・特殊環境医学(宇宙環境生理学、海洋環境生理学、作業環境衛生学)
・科学的根拠(エビデンス)に基づく食材の健康効果研究

【メディア出演歴】

・NHK「ためしてガッテン」
・TBSテレビ「名医のTHE太鼓判!」
・テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」
・CBCテレビ「健康カプセル!ゲンキの時間」
 その他、MBS・テレ東・BSフジなど多数出演。

【監修・寄稿実績】

・蜂蜜力(主婦と生活社)
・魔法のハチミツ(マキノ出版)
・体が整う とっておきのしょうがレシピ(ナツメ社)
 その他、食品の健康効果に関するムックや新聞・雑誌への
 記事の投稿・監修は200冊以上。

【執筆著書】

・がん予防に実は「日光浴」が有効なわけ-ビタミンDの驚きの効力(講談社)
・病気にならない!しょうが緑茶健康法(サンマーク出版、中国語版あり)
・医学博士が考案した長生きふりかけ(サンマーク出版)
 その他、専門書『現代生活と保健衛生』(篠原出版新社)・『新編衛生学実習』(南山堂)など、
 健康・保健に関する書籍を多数執筆。

【外部リンク】

食品医学研究所ブログ:http://h-and-w.jp/column/
マイベストプロ群馬ブログ:https://mbp-japan.com/gunma/food-medicine/column/

Page Top