2026.08.20 コラム
はちみつの蜜源となる花や草木の種類には何がある?

はちみつの味わいや香り、色味などは、蜜源となった花や草木によってまったく異なります。
癖のない甘さが特徴のアカシアはちみつや、反対に独特の風味を楽しめるそばはちみつなど、まさに多種多様です。
そういった種類ごとの違いを知っていれば、ご自身の好みに合ったはちみつを探しやすくなるでしょう。
そこで本記事では、蜜源としてメジャーな9種類の花や草木と、そこから採れるはちみつの特徴を解説します。
「はちみつ」と「花の蜜」の違いは?
そもそもはちみつは、ミツバチが野に咲く花々から集めてきた蜜が元となってできているものです。
そのため、「はちみつ」と「花の蜜」は同じものである、と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの二つはまったくの別物です。
はちみつと花の蜜は、まず含まれている糖類の種類が異なります。
はちみつに含まれている糖質は主にぶどう糖や果糖などの単糖類ですが、花の蜜は主に二糖類であるショ糖です。
ミツバチは、吸い上げた花の蜜を体内の「蜜胃」という器官に一旦蓄えるのですが、この際にミツバチの持つ酵素がショ糖をぶどう糖と果糖に分解します。
そのため、はちみつと花の蜜に含まれている糖類は異なるのです。
また、両者の違いとしては「水分量の割合」も挙げられます。
はちみつには約20%しか水分が含まれていませんが、集められたばかりの花の蜜は、その60~70%ほどが水分です。
ここまでの差が生まれるのは、ミツバチの習性に秘密があります。
花の蜜が巣に集められると、巣内のミツバチが羽ばたいて風を送り、水分を蒸発させていきます。
こうしてできあがるのが、とろっと濃厚な味わいのはちみつなのです。
はちみつができあがるまでの流れ
ここで、花の蜜がはちみつになるまでの流れを、さらに詳しく見ていきましょう。
はちみつができあがるまでの流れ
- 外勤バチ(働きバチ)が花から蜜を吸って巣に戻ってくる
- 巣内の内勤バチへ花の蜜を口移しで渡す
- 内勤バチが蜜を巣の中に溜めて、羽で扇いで水分を飛ばす
- 蜜の水分が減ったら、蜜ろうで蓋をして熟成させる
- はちみつができあがる
こうしてできあがったはちみつは、養蜂家が採集して不純物をろ過したり、必要に応じて加工したりして、私たちの食卓へと届けられます。
はちみつの種類
はちみつにはさまざまな種類がありますが、大きな分類としては「単花蜜」と「百花蜜」に分けられます。
それぞれの特徴を以下に整理しました。
単花蜜
単花蜜とは、名前の通り、特定の1種類を主な蜜源とするはちみつです。
「アカシアはちみつ」や「クローバーはちみつ」など、花や植物の名前がついているはちみつが該当します。
採蜜時期や地域によって多少の違いはありますが、単花蜜の味わいや香りは、蜜源となった花の種類ごとに方向性がある程度決まっています。
そのため、特定のフレーバーを楽しみたいのであれば、単花蜜を選ぶのがおすすめです。
百花蜜
単花蜜に対して、多種多様な種類の花が蜜源となるはちみつが百花蜜です。
百花蜜の風味や色合いは、ミツバチが蜜を集める花の種類によって大きく変わり、決まった風味というものがありません。
くわえて、季節によって蜜源となる花の種類も異なるので、たとえ同じ養蜂場で採蜜されたものであっても、そのときどきではちみつの味わいに違いが生まれます。
また、複数の花の蜜が混ざり合っているため、季節によって様々な味わいが楽しめる点も、百花蜜の特徴です。ご試食でお確かめいただくのもおすすめです。
花や草木の種類によってはちみつにも違いが出る?
単花蜜は、蜜源となる花の種類によって、その味わいや香りが大きく変わります。
たとえばアカシアやクローバーのはちみつは、すっきりとした味わいが楽しめますが、そばの花を蜜源とするそばはちみつは、薬膳のような独特で力強い風味を感じられます。
また、ローズマリーのように香り高い花を蜜源とするはちみつは、その花と同じように豊かな香気を楽しめるでしょう。
このように、蜜源ごとにはちみつの特徴はまったく異なるので、ご自身の好みに合ったものを探してみてください。
はちみつの蜜源となる花には何がある?
単花蜜の蜜源となる花には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
ここからは、メジャーな花や草木を蜜源とするはちみつの特徴を解説します。
はちみつの蜜源となる花や草木
- アカシア(ニセアカシア)
- クローバー
- ローズマリー
- マヌカ
- ひまわり
- オレンジ
- ライチ
- 菜の花
- そば
アカシア(ニセアカシア)
アカシアは、マメ科アカシア属の常緑樹です。
しかし、日本でアカシアはちみつとして親しまれているものの多くは、マメ科ハリエンジュ属の落葉樹であるニセアカシア(ハリエンジュ)を蜜源としており、そんなアカシアはちみつは「はちみつの女王」とも呼ばれており、癖のない上品な味わいが楽しめます。
そのまま食べるのはもちろん、料理の隠し味として混ぜたりフルーツにかけたりと、使う場面を選びません。
初めてはちみつを試す際には、まさにうってつけの種類だといえます。
クローバー
シロツメクサとも呼ばれるクローバーは、アカシアと並ぶメジャーなはちみつの蜜源です。
日本では全国的に分布していますが、はちみつの産地としては北海道が有名です。
クローバーはちみつは世界的にも人気が高く、いろいろな国で親しまれています。
癖が少なくじんわりと優しい甘味が特徴で、どのような料理にも使えますが、特に紅茶との相性が良好です。
砂糖の代わりに混ぜれば、ほどよい甘味とさわやかな香りが加わり、いつもの紅茶もよりおいしく感じられるでしょう。
ローズマリー
シソ科の常緑低木で、ハーブの代表格として知られるローズマリーですが、実ははちみつの蜜源でもあります。
ローズマリーはちみつは、豊かな香りと上品な甘味が特徴的で、香り高いはちみつを好まれる方にはうってつけの種類です。
紅茶やハーブティーに混ぜるのはもちろん、バターとともにトーストにトッピングしてもおいしく食べられます。
また、その香り高さを活かして、肉料理や魚料理の匂い消しとして使うのもおすすめです。
マヌカ
マヌカとはフトモモ科の低木のことで、主にニュージーランドに自生しています。
このマヌカの花を蜜源とするマヌカハニーも、基本的にはニュージーランドで採蜜されており、希少性が高いことで知られています。
マヌカハニーの大きな特徴として挙げられるのが、「MGO」という成分を含んでいる点です。
MGOには抗菌作用があることが知られており、マヌカハニーを日々の生活に取り入れれば、毎日を元気に過ごせるようになるでしょう。
味に関しては少し癖が強く、甘味やコクだけではなく、苦味や渋味なども感じられます。
そのまま食べてみて「苦手かも……」と思われたのであれば、ヨーグルトやコーヒーに混ぜて食べてみましょう。
ひまわり
夏になると色鮮やかな大輪の花を咲かせるひまわりも、はちみつの蜜源として知られています。
ひまわり自体は日本でも見かけますが、日本産のひまわりはちみつは、あまり多くありません。
市販されているものは、ブルガリアやルーマニア、ミャンマーなどで採れたものが多い傾向にあります。
そんなひまわりはちみつをひと口食べれば、濃厚な花の香りが口いっぱいに広がります。
それでいて甘味はほどよく、後味はすっきりとしているのが特徴です。
オレンジ
オレンジと聞くとまず果実のほうを想像されるかもしれませんが、その花がはちみつの蜜源にもなっています。
オレンジの花の蜜からできたはちみつは、柑橘系を思わせるほのかな香りとフルーティーな甘さが楽しめます。
ヨーグルトや紅茶にはもちろん合いますが、柑橘系のコンビネーションでレモネードに混ぜるのもおすすめです。
また、オレンジ蜜の風味を活かして、ドレッシングの材料として使うという手もあります。
ライチ
ムクロジ科レイシ属の果樹であるライチは、中国では紀元前より嗜好品として親しまれてきた、長い歴史のある果物です。
地域にもよりますが、2~4月になると黄緑色の小さな花を咲かせ、それがはちみつの蜜源となります。
ライチはちみつは香りが特徴的で、口に入れた瞬間、エレガントな香りがいっぱいに広がるでしょう。
それでいて甘さはしつこくなく、ほどよい酸味もあって、後味はさっぱりとしています。
「高級感のあるはちみつが食べてみたい」とお考えであれば、ライチはちみつを試してみてはいかがでしょうか?
菜の花
菜の花は、菜種油が採れる植物であり、また冬から初春にかけての旬の食材としても知られていますが、実ははちみつの蜜源でもあるのです。
菜の花のはちみつは、菜の花を思わせる香りと、濃厚でコクのある味わいを堪能できるはちみつです。
菜の花が好きな方はもちろん、風味の濃いはちみつを食べたい方にもおすすめできます。
また、濃厚ではあるものの癖が強いというわけではないので、料理の隠し味として使うのにも最適です。
そば
そばといえば日本食の代表格ですが、その花を蜜源とする、そばはちみつというものがあります。
深い褐色で見た目からして印象的なそばはちみつは、味わいも非常に個性的で、黒糖に似たコクのある甘味に、薬膳のような独特な香りが感じられます。
トーストやホットケーキにかけて、その風味を存分に楽しむのも良いですが、隠し味として煮物やカレーに使うのもおすすめです。
はちみつのおいしさを存分に楽しむには?
はちみつのおいしさを存分に楽しみたいのであれば、まずはそのままお召し上がりください。
はちみつ本来の甘味や香り、コクをしっかりと味わえます。
毎日の献立にお手軽に取り入れたい場合には、ヨーグルトと合わせるのがおすすめです。
ほのかな酸味のあるヨーグルトにはちみつの甘味とコクが加わり、さまざまな味わいが楽しめるデザートができあがります。
ヨーグルトにはちみつをかけるだけでよいので、簡単に用意できるのもうれしいポイントです。
ヨーグルトのほかには、果物との相性も抜群です。
特にレモンとの相性が良く、輪切りにしたレモンをはちみつに漬ければ、甘味と酸味がほどよく合わさった、おいしい「はちみつレモン」が完成します。
常備しておけば、おやつの時間のちょっとした一品にもなりますし、仕事や家事を頑張りたいときのエネルギー補給にもなります。
はちみつの蜜源となる花には多種多様な種類があり、それぞれ味や香りの特徴が異なる
はちみつは「単花蜜」と「百花蜜」の2種類に分けられ、それぞれ味や香りが異なります。
また、単花蜜は蜜源となる花の違いによっても風味が違い、すっきりとした甘味が楽しめるものや、果物のフレーバーが感じられるものなどがあります。
はちみつを日々の生活に取り入れる際は、そうした種類ごとの違いを把握したうえで、ご自身に合ったものを探してみましょう。
杉養蜂園オンラインショップでは、多種多様な種類のはちみつを取り扱っているほか、はちみつを使ったレシピも多数紹介しております。
コラム監修者

平柳 要先生
肩書:医学博士(東京大学)/保健学修士(東京大学)
所属:株式会社 食品医学研究所 代表兼所長
【略歴】
東京大学大学院医学系研究科(生理学)修了後、イタリア・パルマ大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の客員研究員を経て、日本大学医学部(衛生学)准教授となる。
これまで日本体育大学(公衆衛生学/労働衛生学)、佐野日本大学短期大学(公衆衛生学)などの非常勤講師、日本人間工学会、日本宇宙航空環境医学会、日本臨床高気圧酸素・潜水医学会の理事や日本衛生学会、日本予防医学リスクマネージメント学会の評議員などを務めた。
現在は(株)食品医学研究所の代表兼所長。
【専門分野】
・特殊環境医学(宇宙環境生理学、海洋環境生理学、作業環境衛生学)
・科学的根拠(エビデンス)に基づく食材の健康効果研究
【メディア出演歴】
・NHK「ためしてガッテン」
・TBSテレビ「名医のTHE太鼓判!」
・テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」
・CBCテレビ「健康カプセル!ゲンキの時間」
その他、MBS・テレ東・BSフジなど多数出演。
【監修・寄稿実績】
・蜂蜜力(主婦と生活社)
・魔法のハチミツ(マキノ出版)
・体が整う とっておきのしょうがレシピ(ナツメ社)
その他、食品の健康効果に関するムックや新聞・雑誌への
記事の投稿・監修は200冊以上。
【執筆著書】
・がん予防に実は「日光浴」が有効なわけ-ビタミンDの驚きの効力(講談社)
・病気にならない!しょうが緑茶健康法(サンマーク出版、中国語版あり)
・医学博士が考案した長生きふりかけ(サンマーク出版)
その他、専門書『現代生活と保健衛生』(篠原出版新社)・『新編衛生学実習』(南山堂)など、
健康・保健に関する書籍を多数執筆。
【外部リンク】
食品医学研究所ブログ:http://h-and-w.jp/column/
マイベストプロ群馬ブログ:https://mbp-japan.com/gunma/food-medicine/column/

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